
Hudson Shoe Repair Store
ハドソン靴店

ごくごく普通の商店街に佇む、ごくごく普通の外観のお店。ただ道路に面した大きなガラス窓から見えるのは、所狭しと並ぶ靴、靴、靴。靴職人が営む靴の修理屋、ハドソン靴店店主の村上塁さんにお話を伺ってきました。
取材当日、地図で調べて見当はつけたものの、中々たどり着かない...よく調べてみると、なんと通り過ぎていました(笑)。
それほど商店街に溶け込んでいるお店です。ただ一つ目を引くのが、店の前面がすべて窓ガラスであること。
これはなんでもお客さんに中の様子をよく見えるようにするためなのだとか。店の中は靴と機械と工具で満杯状態。文字通り足の踏み場はほとんどありません。
―どういう方が来店されるんですか?
みなさん社会人になってから、特にお客さんと直接会ってお仕事される方っていうのは、足元を気にされるらしいですよ。
―見たところかなり履きこなされた靴が多いんですが…
特にこの辺とかの靴になると、なんでこんなの直すの?って他の方から言われるものもありますね。この靴の方はわざわざ種子島の方から送ってきてるんですけど、旦那さんがもともと現役の時に履いていた靴で、引退した後ボロボロになっていて、履けないのを寂しそうにしていたんですよね。
奥さんが見かねて、インターネットで調べて、他で色々断られちゃって、うちに来たっていう感じなんですけど、全てストーリーを持ってますよ。


―接客時間を長くとるとお伺いしたので すが
そうなんですよね。中には接客時間が人によっては2時間とかになっちゃう方もいらっしゃって(笑)。
ただそれは最初から貫いているスタンスなんです。決めたんですよね。どんなに接客時間が長くなろうが、満足してもらって修理出してもらおうって。うちは速さと安さで売っているお店じゃなく、長持ちする資材で雰囲気を壊さずにきれいに上げる店なので、そこに対して手を抜けないです。
物静かな雰囲気な中にも、情熱を持った言葉で語る姿が印象的でした。
物によっては、新しい靴を買うよりも高くつくこともあるかもしれません。
しかし今まで履いてきた靴にとって「捨てられる」という選択肢以外に、
「修理されまた履かれる」という選択肢ができるのはとても良いことなのではと、
村上さんのお話を聞きながら思いました。